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『柔らかい個人主義の誕生―消費社会の美学』

柔らかい個人主義の誕生―消費社会の美学 (中公文庫)
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starわざは長し、生は短し(Ars longa vita brevis)とともに
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1984年に刊行された本書であり、60年代と70年代についての分析が中心であるが、著者の「消費」の定義の仕方など、現在でも十分に通用する内容が多々ある。池田内閣の所得倍増計画の下で高度経済成長を目指していた60年代の日本社会が、その目的を遂げた後、どのように変化していったのか。70年代に突入して増加し始めた余暇の時間が、それまで集団の中における一定の役割によって分断されていた個人の時間を再統一する道を開いた。つまり、学生時代は勉学を、就職してからは勤労を、という決められた役割分担の時間が減少したことにより、余暇を通じて本来の自分自身の生活を取り戻す可能性が開けたということである。著者も引用している森鴎外の言葉が印象的だった。
 
一体日本人は生きるといふことを知つてゐるだらうか。小学校の門を潜つてからといふものは、一しょう懸命に此学校時代を駆け抜けようとする。その先きには生活があると思ふのである。学校といふものを離れて職業にあり附くと、その職業を成し遂げてしまはうとする。その先きには生活があると思ふのである。そしてその先には生活はないのである。(『青年』)
 
また、60年代以降に生じてきた、商品のデザインに対する関心の急速な高まりは、購買における物質的な欲望よりも、精神的な欲望を消費者に引き起こした。例えば、肌を覆うためのTシャツ買い物をするとき、Tシャツの素材の価値は百円程度であるが、そのデザインに消費者は何千円ものお金を投じる。このデザインに対する精神的欲望が欲するモノは、「何か美しいもの」という漠然としたイメージでしかなく、それがどんな色と形からなっているかを明言することはできない。したがって、現代の購買行動は、「商品との対話を通じた一種の自己探求の行動に変った」と筆者は主張するのである。つまり、自分の美しいという基準を充たす商品を目の前にして初めて私達の精神的欲望が欲するモノが具体化されるため、購買活動の中で多種多様な商品を通じて自分自身の欲望を精査するしかない。この購買活動の変化は、欲求の自由を個人に与える一方で、その方向と適切さに対する自信を失わせることになる。
 
そして、著者の優れた分析眼の最たるものに、「消費」という言葉の定義がある。一般に認識されている「消費」の意味とは、「生産」の対極にあり、物質の価値を消耗させていく行為という程度ではないだろうか。しかしながら、ものの消耗として理解するかぎりにおいて、「消費」と「生産」が本質的に同義であると著者は説く。つまり、「消費」するという行為は、同時に何かを「生産」している。食物を消費して明日の労働力を、紙を消費して普遍なる知識を、森林を消費して電力や住居を、といった具合に、「消費」は同時に物質的・非物質的なモノを生産する。こうした「消費」と「生産」の関係性に加えて、「消費」という行為が、物質的欲望を最大効率的に満たそうとするのではなく、物質的欲望を直接に満たすこと自体を引き伸ばしているという事実を挙げる。例えば、食事においても、人は一片の牛肉を食すにあたって、目の前の牛肉にすぐさまかぶりつくのではなく、時間をかけて調理し、綺麗な器に飾り付け、厳かな手つきで口に運ぶ。こうした時間を消費する過程は、食欲を純粋に満たす上で非効率であるのは明らかだ。以上の事実から、著者は、「消費」を「ものの消耗と再生をその仮りの目的としながら、じつは、充実した時間の消耗こそを真の目的とする行動だ」と定義し、「生産」を「過程よりは目的実現を重視し、時間の消耗を節約して、最大限のものの消耗と再生をめざす行動」と定義するのである。そして、この「充実した時間の消耗」というモノの消耗における非効率性は、70年代以降の社会に見られる購買活動において、物質的な価値よりもデザインに大金をはたくという非効率性に通じるのである。
 
 
こうした余暇の増加、購買の欲望の自由化とモノの消耗の非効率化の結果、個人は大衆の動向を気にかけるようになる。以前は明確な目的を持って行動できた人間は、70年代において行動の拠り所を失う不安に耐え切れず、周囲の目を気にし出すのである。こうして、人は、自分の行動において他人からの評価に沿うための一定のしなやかさを持ち、しかし、同時に自分自身を他人とは違った存在だと主張するための有機的な一貫性を守ることが要求される。それが「柔らかい個人主義の誕生」なのである。

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2009-08-04(Tue) 18:49| 評論| トラックバック 0| コメント 0

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