『ワインの飲み方、選び方―ジャンシス・ロビンソンのワイン入門』
ワインの飲み方、選び方―ジャンシス・ロビンソンのワイン入門 | |
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本書には、ワインをテイスティングするために必要な知識のほとんどが揃っている。
ワイン初心者の私のような輩が、いざワインテイスティングを始めようと思っても、何万本とあるワインを目の前にしては、どれから手をつけたら良いのか全く分からない。適当に数本ワインを買って飲み比べてみても、飲んだワインのどこに注目すればよいのかが曖昧だから、ただ何となく違うなと感じるだけで終わってしまう。全くもって時間とお金の無駄だ。
私の持論であるが、知識というのは認識できなければ体得できない。人は物事を理解して初めて、知識を生きたものとして活用することができるのである。本書は、具体的な言葉やワインの例を用いて、初心者の曖昧なワインテイスティングの知識を精錬させてくれる。そうして具体化された知識をもってワインを飲めば、それは間違いなく有益な経験となるだろう。
本書では、人間がどのような味覚を感じ取ることができるかについての簡単な解説を始めとして、テイスティングをするための環境づくり、ワインの品質を見極めるためにどのような点に着目すれば良いのかを詳述してくれている。著者は初心者の目線に立って、あれこれと頭に浮かぶ疑問を先読みするかのように解説してくれるので、非常にわかりやすい。また、ワインや環境の違いが私達の味覚にどのような違いをもたらすのかを比較できるように、様々な実践例を各所で紹介してくれる点も嬉しい。こうした実践例を一つずつこなしていけば、確実にワインテイスティングの力量がアップするのは間違いない。
そして、本書の半分はブドウ品種の味の特徴に割かれている。もちろん、他の産地との違いが顕著で分かりやすいシャトーのワインの見分け方も紹介されているが、著者は産地間に見られる微妙な差よりも、より分かりやすいブドウ品種の味の違いを解説してくれている。こうした点からみても、本書が初心者にとって非常にありがたい本であると言えるだろう。もちろん、それぞれのブドウの味を顕著に体現している有名ワインを何本も紹介してくれているのは言うまでもない。
ただ一つ欠点を挙げるとすれば、ワインの色の変化が分かりにくいといったところか。カラー写真つきで色の変化まで解説してくれていれば、入門書としては最良のものになっただろう。しかしながら、これからワインを楽しむ者として、一家に一冊持っておいて損はない本だ。他の本を何冊も購入するより、まずはこれを一冊購入することをお勧めする。
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